「ぎょくろのいろつやのすばらしいさま」に見るネットでのガセネタの広がり方の考察2018年03月24日 17時35分59秒



この漢字、読めますかね。
ネットで調べたところ、「ぎょくろのいろつやのすばらしいさま」と読むそうです。
すごいですねー。


そ ん な わ け あ る か 。


これ、ガセネタです。相当広まっちゃってますが。
どれくらい広まっているかというと初音ミクが歌うくらい広まっています。
(「なんだかとっても!いいかんじ」という曲。あれは良い曲だと思います)

この長ーい字義を「訓読み」と呼んでいいのかという議論は絶えませんが
(個人的にはダメだと思う)そういう次元ではなくガセネタです。
この漢字は「ぎょくろのいろつやのすばらしいさま」を表す字ではありません。

このガセネタの発端はおそらく、漢字の研究をしてそれをいろいろと紹介している
某サイトさんです。(詳細は伏せておきます)
このサイトの方はご自分で調べた結果としてこの漢字を「ぎょくろのいろつやの
すばらしいさま」と誤って紹介していました。

それが、ろくに自分で調べもしない人たちがコピペを繰り返していろいろな
サイトで紹介され、現在のように広まってしまいました。

そもそも漢字は中国で作られたものなのに、日本茶である「玉露」をほめるような
ニッチな意味の字が存在するということに、誰も疑いを持たなかったんでしょうか。
この字が日本に渡ってきてから発生した意味だと考えても、「玉露」という飲み物の
「味」ではなく「色つや」をわざわざ漢字一字を当ててほめるなんて、不自然だと
思わなかったのでしょうか。


この漢字の意味を辞書で調べてみました。

「玉の色つやの美しいあざやかなさま」(大漢和辞典)
「玉の清浄鮮潔なさま」(講談社新大字典)
「玉の色の鮮やかなさま」(新潮日本語漢字辞典)
「玉の色つやが鮮やかなさま」(新漢語林)
「玉の色があざやかなさま」(漢字源<電子辞書版>)

もうおわかりですね。


「ぎょくろ」じゃなくて「ぎょく」!!


ここでいう「ぎょく」とは宝石などのことです。「宝玉」って言葉ありますよね。
何てことはない、この字は「宝石がきれい」という意味であり、日本茶をほめてる
わけではありません。
当たり前です。

上に挙げた辞書のうち「新漢語林」と「漢字源」は、そこいらの学生が普通に
使っていてもおかしくないような小型の漢和辞典です。
だから、誰でも調べようと思いさえすればこの結論にたどりつくはずなんですが。

コピペした(というかパクった)ネタをサイトに載せて注目を集めたい人たちは、
ネタにインパクトがあればそれが本当か嘘かはあまり関係ないのかもしれませんね。
自分で調べる気なんて全くないんでしょう。


最初に「ぎょくろのいろつやのすばらしいさま」と紹介した某サイトの方は当初
「ぎょくろ」だと勘違いして紹介していたようですが、現在は修正されています。

でもそれをコピペして紹介した複数のサイトは、相変わらず「ぎょくろ」のまま。
前述のとおり彼らはネタが本当か嘘かは気にしないので、元ネタが修正されて
いようが関係ないのでしょう。
というより、パクって自分のサイトに載せたらもう興味を失って次のネタを探しに
行くので、修正されていても気付かないのかもしれませんね。


本当だろうと嘘だろうと、インパクトがあるネタが広まる。
例えば嘘が訂正されてもその訂正自体にインパクトがないと広まらないわけですね。




ネット上には様々なサイトがありますが、いろいろなネタを広く浅く紹介している
サイトにはガセネタが紛れている場合があります。気を付けましょう。
特に「ぎょくろのいろつやのすばらしいさま」で検索をかけてヒットするサイトは
そういうサイトですよ(笑)

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